私の妻が認知症です。妻が徘徊してしまいます。

家族だんらん。みんなでテレビを見ていると・・・。

私の妻(70代半ば)が認知症です。

先日、妻と一緒に、リビングでテレビを見ていたのですが、妻はおもむろに立ち上がり、リビングから出て行ったきり、なかなか戻ってこないのです。玄関を確認したところ、妻の靴が見当たらず、ドアの鍵も開いている状態でした。

しばらくすると、近所の方が妻を送ってきてくれて、その日は大人なきを得ましたが、以前は警察に保護されて警察署まで迎えに行ったことも度々ありました。

24時間ずっと、妻を見ているわけにもいかず、とても困っています。何か良い対応策はありますか?

認知症の人に対しては、その特性を正しく理解した上で接するとともに、周囲や行政機関に相談するなどして、絶対にあなた一人で抱え込まないでください。

★徘徊を防ぐためにできること

認知症の人の徘徊を完全に防ぐ事は難しいのですが、あらかじめ次の対策を講じておくと良いでしょう。

1、親戚や近所の方に事情を説明し、もしものときの協力をお願いしておく。
2、認知症の人が立ち寄りそうな店や公共施設を交番にも伝えておく。
3、認知症の人の衣服や靴の内側に名前を記入しておく。
普段持ち歩くバックや財布の中に名前や連絡先などを記入した迷子札を入れたりシールを貼っておく。


4、位置情報を把握できるGPS機器を利用する。
5、日中、散歩などの適時な運動を促し、夜にぐっすり眠れるようにする。

★認知症の人と接するときのポイント

1、基本姿勢 〜3つの「ない」

(1) 驚かせない。
(2) 急がせない。
(3) 自尊心を傷つけない。
それらのことを意識して接してください。

2、具体的な対応 〜7つのポイント

(1) まずは見守る‥‥ジロジロ見る事は禁物です。
(2) 余裕を持って対応する‥‥周りの人の困惑や焦りは本人に伝わるのです。
(3) 声をかける時は、1人で‥‥複数人で同時に話しかけると、本人がパニックになってしまうことがあります。
(4) 後ろから声をかけない‥‥本人の視野に入ってから声をかけましょう。
(5) 目線を合わせて優しい口調で話しましょう‥‥上から見下ろすと、本人の恐怖心を煽ります。
(6) 穏やかにはっきりとした話し方で‥‥早口大声は、本人の恐怖心を煽ります。
(7) 言葉に耳を傾けてゆっくり対応する‥‥本人の言葉を復唱するなどしてゆっくり聞いてください。認知症の方は急がされるのが苦手です。

★認知症についての相談窓口

1、地域包括支援センター

地域で暮らす人たちの介護、福祉健康、医療など様々な分野から総合的に高齢者とその家族を支える機関です。

2、認知症疾患医療センター

認知症の人とその家族が安心して生活できるよう、地域における支援体制を構築するため、各都道府県及び指定都市が指定する医療機関です。認知症の鑑別診断、身体合併症と行動、心理症状への対応、専門医療相談等を行っています。

3、認知症カフェ

認知症の人やその家族が、地域の人や介護福祉等の専門家と情報を共有して、お互いを理解し合う場で、オレンジカフェなど様々な名前で運営されています。訪れて見たい方は、各自治体の高齢者、福祉相談課や、地域包括支援センターなどにお問い合わせください。

最後に、

関係機関からの助言などを踏まえて、対応策を講じていても、認知症の人の徘徊を完全に防ぐことはできません。万が一、認知症の方が行方不明になった場合は、1人で解決しようとせず、周囲に協力を求めたり、110番通報などをして関係機関に助けを求めてください。

(「家庭と防犯」4月号より引用)