学年末・新学期の少年非行防止

学年末・新学期である3月から4月は、卒業や進級といった節目の時期であり、少年たちが新たな希望や期待に胸を膨らませる機会となる一方で、春休み時期と言うこともあり、深夜徘徊や家でなどの不良行為も懸念されることから、これらの少年を早期に発見して補導・保護することが重要となります。

警視庁では、学年末及び新学期の時期における非行や被害防止に向けて、少年の健全育成を積極的に推進しています。

非行の芽つみ取る「親の目、地域の目」

警視庁では、学校、地域社会や関係機関・団体との連携を通じて、少年の非行・被害を生まない社会づくりに向けて、「非行の芽つみ取る親の目、地域の目」をスローガンに、各種取組をしています。

  • 他の長期休み時期と同様、学年末、新学期における早朝・深夜の街頭補導活動を強化した喫煙や飲食などの不良行為少年や家出少年の発見保護
  • 学校における非行・被害防止教室や保護者会などを通じた、薬物乱用防止、インターネットルール、犯罪加担防止や各種被害防止等の講話を行い、少年自身の意識の向上や少年が被害に逢わないための対策
  • 少年警察ボランティアや、学校関係者の協力に基づく、通学路における登下校の見守り活動や少年への声かけなど、少年が「周りから見守られている」と感じられる社会環境の醸成
  • 少年の立ち直りと再非行防止を図るため、悩みを聞き、助言を行うほか、大学生をはじめとするボランティアや地域住民などと、共に協働した、種まきから収穫や出荷までの農業体験や、ものづくりなどの各種体験活動及び修学・就労に向けた支援

などの各種取り組みを推進しています。

保護者の皆様へ

1、まずは「我が子の行動」に関心を!
非行に走る少年は、言葉遣い、服装や所持金品等の変化、深夜徘徊や無断外泊を繰り返すといった、何らかの「兆し」が認められます。

こうした「兆し」が見られた場合には、少年の思いや言い分を尊重しつつも、毅然とした態度で注意を与えることも必要です。

2、このような行動変化には要注意。

  • 服装や髪型が派手になった
  • 行き先を告げずに外出したり、帰宅時間が不規則になった
  • 夜遊びや外泊が多くなり、言葉遣いが悪くなった
  • 嘘をついたり、家族との会話を避けるようになった
  • スマホの使用頻度が増え、家族の顔すら見たがらなくなった

3、我が子の「インターネットの利用状況」を把握していますか?

小学生・中学生のスマホ所有率は増加傾向にあり、特に小学校高学年については4割を超えるとも言われています。
これに伴い、SNS上におけるいじめ、スマホを介した性犯罪被害、オンラインゲームなど高額課金のほか、深夜・長時間に及ぶ依存的な利用に陥るといった様々な問題が発生し、ともすれば、心身の健康を損なうなどして、不登校の一因ともなっています。

こういった問題を改善していくためには、保護者がフィルタリングに代表される※ペアレンタルコントロールなどの安全対策をとることと、子供の判断能力を育てることの両方が必要といえます。

※ペアレンタルコントロールとは、子供のスマホなどの使用状況を保護者が把握したり、安全に管理・制限する仕組みのこと。主な機能の例として、利用時間の制限、コンテンツフィルタリング、アプリ購入の制限、位置情報の確認等があります。

4、「ファミリールール」の設定

進級進学の機会に、スマホやゲーム機を子供に持たせる家庭もあるかもしれません。子供の年齢に応じた家庭内のインターネット利用のルールを決めておくことも大切です。子供と話し合ってルールを決めて、これを守りながら少しずつ自分自身で判断できる範囲を広げましょう。

5、「ファミリールール」の一例

  • 接続するサイトやダウンロードするアプリは、保護者に確認してもらう
  • インターネット上には、自分自身と友人の個人情報は書き込まない
  • SNSで知らない人とメール、メッセージ、個人が特定できるような写真を交換しない
  • 他人を中傷したり、侮辱したりするような投稿をしない
  • 何かトラブルがあった場合は、必ず保護者に相談する

6、薬物乱用の根絶を目指して

大麻、覚せい剤などの違法薬物の乱用は、心身の健康を害するだけでなく、家庭を崩壊させるなど、社会上様々な問題を引き起こします。

特に大麻は、少年の検挙・補導が過去最多となるなど、若年の大麻乱用拡大が大変憂慮すべき状況にあります。

大麻に手を染めてしまった少年の動機として、「好奇心・興味本位」が約6割と最も多く、次いで「その場の雰囲気」が約2割を占めており、安易にその誘いに乗ってしまう危険性が秘められています。

大麻に関して、海外では合法の国もあるなどを理由に、インターネット上では大麻の危険性を軽視する情報が氾濫しているのが現状です。実際は有害で依存性も高く、昨年12月の法改正により、大麻の不正な施用(使用)についても、麻薬及び向精神薬取締法の「麻薬」として、禁止規定及び罰則(施用罪)が適用されることになりました。

違法薬物乱用の他にも、家庭や友人関係等の悩みを抱えた10代から20代の若者が、多幸感を得たり一時的に精神的苦痛から逃れるための手段として、市販薬を過剰に摂取する、いわゆるオーバードーズをして、心身に大きなダメージを負うケースが跡を立たず、深刻な社会問題となっています。

警視庁では、市販薬を他人に無断で販売したり、譲り渡したりした者の検挙や、東京都薬剤師会をはじめとする関係団体と連携して、少年に薬物乱用をさせないための各種施策を進めているところです。

各家庭においても、子供が軽い気持ちで違法薬物に手を染めたり、過剰服薬に陥ることがないよう、普段から家族の会話の中で正しい知識と恐ろしさを伝え、しっかりと理解をさせましょう。

(「家庭と防犯」3月号から引用)