七福神めぐりは、正月元旦から七日にかけて、七つの福神をめぐるお正月の開運行事です。19世紀の江戸で盛んに行われ、やがて地域ごとに七福神めぐりが創設されましたが、谷中・深川・隅田川の七福神めぐりは、とりわけ人気がありました。
隅田川七福神は、一説によれば文化元年(1804)に佐原鞠塢が開いた向島百花園に集まった文人たちによって形作られたといわれています。
江戸時代の向島周辺には寺社や料亭など名所が集まっており、江戸市中から日帰りできると言う地の利もあって、風景を愛で、名物を味わえる行楽地として大変にぎわいました。
江戸の人々の楽しみであった隅田川七福神は、安政江戸地震(1855)などから一時衰退しますが、明治31年(1898)頃に発足した隅田川七福会によって徐々に人気が復活し、現在では都内随一の七福神めぐりとして人気を博しています。
平成15年(2003)には、区民の生活文化を語る習慣として、墨田区登録無形民俗文化財に登録されました。
本展示では、お正月の風物詩である。隅田川七福神と寺社、向島の名所について、文献資料や浮世絵などから紹介します。