Overdose(オーバードーズ)って何?

市販薬(風邪薬、せき止め、鎮痛剤など)の過剰摂取

最近、家庭や友人関係などの悩みを抱える10代から20代の若者が、多幸感を得たり一時的に精神的苦痛から逃れるためOD (オーディー、オーバードーズの略)と呼ばれる市販薬(風邪薬、せき止め、鎮痛剤など)の過剰摂取が流行り、大きな問題になっている。

次に紹介する事例は創作のモデルケースです。

高校1年生になったAさんは、新しい学校に馴染むことができずに戸惑っていました。その後、クラスメイトと些細なことから喧嘩になり、クラスで孤立するようになり誰にも相談できずにいました。

家に帰っても元気のないAさんを見て、母親は、学校のことを尋ねるとAさんは詳しくは話したがりませんでした。しかし、しばらくしてAさんは不登校になってしまいました。

ある日の晩、母親がAさんの様子を見に部屋に入ると、Aさんがろれつの回らない状態でした。そして床を見ると、薬の空き瓶が転がっていた。驚いた母親が119番通報して、Aさんは病院に搬送されたのです。

その後、治療を終えて落ち着いたAさんから話を聞くと、Aさんは堰を切ったように、
「家も学校も辛くて、ストレスが限界だった」
「風邪薬をたくさん飲んで嫌な気分を忘れたかった」
「死ぬつもりではなかったが、1回すべて忘れたいと思い、ODをした」
「これまで10回以上やった」
と自分の思いを話しました。気がつかないところで娘が悩んでいたことを母親は知り、大きなショックを受けたのです。

近年、ODの大きな特徴としては

  • インターネットのSNS上に、薬の種類や飲み方、聞き方といったようなODに関する情報が溢れており、子供たちが持っているスマホなどで容易にアクセスが可能である。
  • 過剰服薬するのは市販されている風邪薬や咳止め薬である。薬局やインターネットなどで簡単に安価で購入できてしまう。

ネット上では、ODをすると、「多幸感を得られる」「ふわふわ気持ちになる」「頭がスッキリする」などと書かれており、学校や家庭での人間関係の悩みやストレスを抱える青少年が興味本位から手を出しやすい状況にある。

しかし、ODは大変危険な行為。薬の乱用は心身の健康を害するだけではなく、例えば、薬を買うお金を稼ぐために、未成年がパパ活(援助交際)をしたり、薬の個人間売買からトラブルに巻き込まれるといった問題が実際に発生している。

ODの目的は、快楽を求めて違法薬物を使用することとは異なり、生きる辛さを紛らわせるために行うと言われている。したがって、子供からのSOSのサインを見逃さないこと。ただ叱ってODを止めさせる指導だけでは、根本的な問題の解決になりません。問題の背景にある子供が抱える生きづらさに支援の手を差し伸べる必要がある。